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イベントレポート

障がいのある子が困らないように算数を学ぼう

一般財団法人ゆうちょ財団の助成活動事業

報告橋本秋人

今回の講座は、一般財団法人ゆうちょ財団の助成活動事業として開催され、ら・し・さ正会員で長年障がいのある子の教育に深く関わっている住山志津枝さんに講師を担当していただきました。

子どもの参加もOK、実習もあるというたいへんユニークな内容だけあって、多くの子ども連れのご家族も参加され、とてもにぎやかで楽しい講座となりました。

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前半は、学校の算数と生活の算数の違いについてのお話。数と計算を理解する力とは、「具体的なもの」「抽象的な概念」「見える数字」を脳の中で行き来させて結び付ける力で、障害のある子どもたちはこれが苦手。そのため、算数はできたとしても「お金のやりくり」がなかなかできません。子どもの思考のメカニズムから始まり、概念の具体化、経験の知識化が大切であることを、具体例を示しながら解説していただきました。

また、子どもがひとりで買い物ができるようになるための、位取りシートやコインホームを使う練習についての説明がありました。

そして、いよいよ子どもたちも参加しての実習開始。

「やってみたい人!」という呼びかけに、何人かの子どもが元気よく手を挙げ、住山さんの指導の下、位取りシートを使って、模擬硬貨を指定されたマスに置く練習。さすがに手を挙げた子どもたちは、答えのシートを見る前に、次々と正解の場所に模擬硬貨を置いていきます。できない子も練習により一定のパターンを覚え繰り返すこと、さらに練習や暮らしの経験を知識につなげることにより、足し算や引き算ができなくても、買い物ができるようになるとのことでした。

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後半は、料理の話です。

住山さんが子どもたちに料理を教えている理由として、お金と料理は共通点が多いことを挙げています。安全な方法で料理をすることを通して、子どもたちは手順のパターン化や、「あいまい」さを覚えていきます。そして最も大切なのは、失敗しても前向きにやり遂げることであることを強調されていました。

最後に、子どもたちが地域で安心して暮らすためには「お願いします」と「ありがとう」の想いが大切であること、そしてお金の練習をすることは、大切な「ありがとう」の循環を知ることにつながるというお話を講座のまとめとされました。

 

ご自身も発達障がいのあるお子さんの母親である住山さんならではのご経験と理論に基づいた講義は、大変説得力があり、目から鱗が落ちるような新鮮な驚きがありました。

また情緒豊かで熱い語り口に、涙を浮かべながらうなずく参加者の姿もあり、多くの方の心に響いたのではと感じました。

今回のようなテーマについては、どのようにすれば良いか分からない、誰に相談すれば良いか分からない、と悩んでいる親や支援者、教育者たちも多いと思われ、このような講座がより広がり、一人でも多くの方が受講する機会が増えることを切に願う講座となりました。

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