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イベントレポート

【“ら・し・さ”の終活講座12回】大切な人・家族の看取り 死への準備と心得を考える

ら・し・さの終活講座 第12回

報告日暮道惠

私たちは、誰もが死から逃れることができないことは知っていますが、それは遠くにあるものと思っています。ところが、健診で癌が見つかった、交通事故や震災などで、それまで遠くにあったものが急に目前のものとして向き合わねばならなくなったとしたら・・・。

平成28年4月26日開催の第12回らしさの終活講座は、専門学校で死生学を教えているらしさ正会員の斉藤弘子さんに死生学とグリーフケアについてお話をしていただきました。

講師の斉藤 弘子氏

死生学(サナトロジー)とは、死を通してよりよく生きること(生きざま・死にざま)を考える学問であり、グリーフとは大切な人を喪った悲しみのこといい、グリーフケアはその悲しみから立ち直れるように支援することだそうです。

突然、死を目前のこととして向き合わなければならなくなったときに起きる心理プロセス、否認(そんなこと嘘だ否定)・怒り(なぜこの私が死ななければならないのか)・取引(神仏に祈り、嘘だといってくださいその為には何でもします)・抑うつ(神仏に祈ってもやっぱりだめなのだとうつ状態になる)・受容(覚悟を決めて受け入れる)は、本人だけではなく、遅れてではあるが家族もその心理プロセスを共有するとのこと。

家族は本人へ寄り添い、看取りをしながら、延命措置や葬儀・相続等の問題にも対処していかなければならない。延命措置は本来本人の意思で決めるものだが、日本では本人よりも家族に尋ねてくる。本人の意思がわかっていれば、家族も本人の意思として伝えることができる。本人の意思を伝えておくことが大事とのこと。尊厳死宣言やらしさノートに書いておくとよい。

斉藤さんは1年程前にご主人を亡くされていますが、遺言書がなかったので大変だったそうです。ご主人も一度は遺言書を作成するところまで行ったそうですが、遺言書は死んでいく人が書くもの、自分は元気になって退院するのだから遺言書はまだ必要ないといって作らずに終わってしまわれたそうです。

その経験から、知識を持っていても実際にはその知識を超えた壁(問題)にぶつかることもあるので、実際に起こることを想定して対策を立てておくといいとのこと。

休憩をはさんで後半は体験学習。4つのグループに分かれてのグループワーク。自己紹介後、延命措置や遺言書などについて話し合いました。お最
後はラストプランについてらしさノートの私の願い、葬式等のページ家族の看取り 死への準に書き込みを行いました。

真剣に討論する受講者たち

今回の終活講座のタイトルは「大切な人・備と心得を考える」でしたが、家族の看取りはいずれ自分が看取られる人に変わるわけで、死生学でいういきざま死にざまを考える良い機会になりました。死にゆくときも一人ではないのだと思いました。

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